ソーシャルデータはパーソナライズ化に活かせるのか?-ショッピング体験の未来を考える

ソーシャルデータはパーソナライズ化に活かせるのか?-ショッピング体験の未来を考える

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先日当ブログで、「買い物のためのFlipboard」を目指す、自分だけのオンラインマガジンを提供する「Pickie」というサービスをご紹介しました。「Pickie」は、ユーザーの趣味や関心、話題にしていることなどソーシャルメディア上のデータをもとに、コンテンツをパーソナライズ化しています。最近の調査結果では、毎日3億4000万の買い物に関するツイートがされている、とされており、1日にこうしたソーシャルデータ活用は、よりユーザー一人ひとりに焦点を当てた体験の提供が可能になるとされています。

ソーシャルメディア上のユーザーデータは非常に豊富にあるように思えますが、それは本当に十分に活用できるほどのものなのでしょうか?「ソーシャルメディア上の自分」は本当に自分のアバターのようなものなのでしょうか?今回はPSFKによる「Pickie」のCEO/Co-FounderのSonia Sahney Nagar氏へのインタビューをもとに、ソーシャルデータ活用による未来の小売業の可能性について考えてみたいと思います。

■Facebook、Twitter、Pinterestには豊富なデータがある
多くのソーシャルコマース系サイト(Pinterest含む)は、積極的にユーザーが買い物情報をFacebookやTwitterのタイムラインに投稿できるようにしている。複数のソーシャルコマースサイトからのアクションや関心がFacebookなどのソーシャルメディアには詰まっています。

 

■ソーシャルデータの大きな利便性は豊富なプロフィール情報
ブランドや企業、スタートアップは、ソーシャルメディア上のプロフィール情報を活用することで、ユーザーの基本的な情報(性別や年齢)をはじめ、好きなものや関心、話題にしているものなどを最初から知ることができる。これにより面倒なユーザー情報の登録プロセスを省くことができ、使い始めの段階からユーザーの体験をよりよいものにしてくれると考えられます。

 

■ソーシャルネットワークから情報を取得すると同時に、情報を拡散する
ブランドや企業はソーシャル上の豊富なプロフィール情報を取得するために、Facebookアプリ認証などを経てユーザーからソーシャルネットワークへのアクセスを許可してもらいます。Nagar氏によると、こうしたソーシャルネットワークへのアクセスの認証フローを通して、ユーザー自身も「自分の情報を活用してよりパーソナライズ化された体験を提供してくれるのだ」と感じるものだとしています。

しかし、この点は日本においてはまだ懸念があります。Facebookアプリなどが流行している反面、そうしたアプリ認証画面を見せられると、勝手に自分のソーシャルネットワークにアクセスされるのは不安、と感じるユーザーが多いのが現状だと思います。確かにソーシャルメディア上の豊富な情報は、企業にとっては魅力的なものです。とはいえ、ユーザーの信頼を損ねては元も子もありません。もしこうしたソーシャルネットワークのデータにアクセスする際は、「なぜアクセスする必要があるのか、どのように利用するのか」をはっきりとわかりやすく提示し、納得してもらった上で活用していく必要があるでしょう。

とはいえ、こうした懸念はあるとしても、ソーシャルネットワークへのアクセス認証を得ると提供できるサービスや見込める効果の幅は広がります。

たとえば、オンラインデザインマーケットプレイスのFabでは、ユーザーが自身のFacebookタイムラインに商品の購入情報やお気に入りなどをシェアした場合、月ごとに5USドル分が無料になる取り組みを行なっています。これによりFabの会員基盤は450万人以上にまでアップし、一日のトラフィックの20~40%がFacebookからの訪問とのこと。外部SNSから情報を取得すると同時に、外部SNSに向けて情報をシェア、自社サイトへの導線を強化することができると考えられます。

参考:Facebookと自社のオンラインサービスをシームレスに連携!パフォーマンス向上につながった4つの海外事例。

 

■ソーシャルデータはパーソナライズ化するのに十分なものなのか
Nagar氏はソーシャル上のデータはおすすめ商品の情報を提供するのに十分なものであるとしています。しかし、ソーシャルメディア上の情報は必ずしも正確であるとは限らないし、もし偽の情報(たとえば普段はファストファッションばかり着ているタイプなのに、あたかも普段から着ているかのように高級デザイナーズファッションのアイテムをシェアしていたり)であった場合、企業はその情報を本当に生かせるのか?という疑問も湧いてきます。この点について、Nagar氏は次のように述べています。

ソーシャルメディア上の商品に対する言及は2つの役割がある。「自己表現としての役割」「買う意向を示す役割」だ。このどちらも、買い物する動機付けにはなる。特に「自己表現」には向上心があり、買い物にインスピレーションを与えるものです。もし自己表現として商品をシェアしただけで買う気がなかったとしても、別の機会にそれと似たような商品をおすすめすることで触発されることはあるかもしれない。構造化されたデータは、ソーシャルコマースサイトにおいて、ユーザーと商品の関係を構築する(たとえ今日売上につながらなくても)。

以上の点から考えられることは、たとえユーザーがシェアした商品が「単に自己表現としてのもので、特に買う気はない」というものだったとしても、長期的な目線で見れば十分にパーソナライズ化したおすすめ情報として機能するということです。


たとえば、先ほど例で述べた「ファストファッション着ているけど、ブランドアイテムをシェアしている人」の場合。確かにそれはただの「自己表現」であったとしても、きっと「こうなりたい」という理想や憧れであったりすると思います。「今は憧れだけだけど、いつかは…」そんな思いのもとに憧れのブランドアイテムをシェアすることはあると思います。私はよくあります(笑)

そうしたパーソナルな情報を、すぐに買わないなら意味のない情報として片付けるのではもったいないのかもしれません。すぐに売ろうとするのではなく、憧れや自己表現という意味でのブランドとユーザーの関係を踏まえた上で、継続的にコンテンツを提供し印象を残していくことで、あるタイミングで買ってもらえることがあるかもしれません。

単純ではない、しかし従来の顧客データと比べより人間らしい情報を取得できることが、ソーシャルメディアならではの良さでもあり難しさでもありますね。だからこそのソーシャルデータの生かし方は、まだまだありそうです。そんな未来の買い物の可能性に期待しつつも、機械的になりすぎて人間らしさを見失わないように気をつけていくことも必要だなと感じています。

◆参考
Is Social Data Good Enough To Be Used By Apps? | PSFK

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author by 深谷 直

深谷 直

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