「ユーザー」ということばを再考する:自分たちの“お客さん”を“ユーザー”と呼ぶのはなぜ?

「ユーザー」ということばを再考する:自分たちの“お客さん”を“ユーザー”と呼ぶのはなぜ?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Twitter創業者であり、スマートフォンでクレジット決済ができる「Square」のCEOであるJack Dorsey氏が自身のTumblrに投稿した「Let’s reconsider our “users”」に、とても興味深い内容が書かれていました。

テーマは、自分たちのプロダクトやサービスを愛し使ってくれる人々のことを「ユーザー(user)」と呼ぶか「お客様(customer)」と呼ぶか、ということです。


■「ユーザー」と「お客さん」、どう使い分ける?
なぜDorsey氏がこんな話題を出したかというと、
スターバックスのCEO、Howard Schultz氏と次のような会話をしたのがきっかけのよう。

「なぜ君たちはお客さんのことを“ユーザー”と呼ぶの?」とスターバックスCEO。
「わからない。今までずっとそう呼んでいたから。」とDorsey氏。

そういえば、私も普段特に気にもせずに「ユーザー」とか「お客様」とか言ってしまいます。
深い意味まであまり考えていませんでしたが、
自分はTwitterのユーザーだなーと思う一方で、
スターバックスラテを飲む自分を「スターバックスのユーザー」という風には思いません。
誠に勝手ながら。。

 

■インターネット企業と飲食店の「お客さん」への意識
Dorsey氏いわく、インターネット企業のビジネスモデルのくくりは大きく二つあると言います。
広告を買うなど使用料を支払う顧客と、逆に広告を表示させることで無料で使う消費者。

インターネット業界では、企業とその製品を使う人との関係は直接お金のやりとりをしたり、
飲食店のように面と向かって直接関わるとは限らないので、
「ユーザー」という抽象的な言葉でまとめてしまう傾向があるのかもしれません。

ユーザー視点のデザイン、ユーザー利益、ユーザー体験、アクティブユーザー
といった指標があるように、インターネットとは本来「人」をいちばんに考えるべきものです。
しかしその一方で、売り手と買い手のような
明確な企業と顧客の関係が見えにくかったりして、
人々の日常に感じる問題から離れてしまう傾向もあるのかもしれません。

一方、スターバックスなんかは、売り手と買い手が明確です。
スターバックスのコーヒーを飲みたい人がお金を払って、
店員はおいしいコーヒーを提供する。
Dorsey氏が言うには、「お客様」という言葉は、
提供するサービスのレベルのハードルが上がり、
お客様からのアテンションやビジネスを失うリスクもあるといいます。

しかし、Dorsey氏は、ここで改めてテクノロジー企業は、
この「ユーザー」という言葉を再考する必要があるのでは、と考えたようです。

 

■Squareの「ユーザー」再考
Dorsey氏は、Squareのチームメンバーに対して、
「自分のつくったもの、立ち上げたものを愛してくれる人々のことを、なんと呼ぶべきか考えてみてほしい。」
という旨の文書を送りました。

その中で彼は「ユーザー」と「お客様」という言葉について、次のような点を指摘しています。

  • ●ユーザーという言葉は便利。しかしとても受動的で抽象的。
  • ●ユーザーは本来の個の存在をあいまいにしてしまう。
  • ●たかが日常口語ではあるが、言葉というものは強力かつ繊細。
  • ●「お客様」という言葉は、よりアクティブで大胆、率直かつ直接的。

「ユーザー」という言葉を使うことで、
自分たち自身の認識が抽象的であいまいなものになり、
自社製品を愛してくれている人々、つまり本来のお客様から
気持ちが離れてしまっていたとのことでした。

そこでやるべきこととして提案されたのは二つ。
一つは、サポートチームと働く中で、毎日お客様の問題を直接感じること
もう一つは、まず自分の努力のみにフォーカスするのではなく、
あらゆる会話やミーティング、レビュー等の中でお客様について言及すること。

さらに、これを機にSquareでは「ユーザー(user)」という言葉を使ったら
罰金として$140払うようにしたそうです。
なかなかユニークな取り組みですが、なるほどなあ、とも思いました。

他社ではなく、自分たちのプロダクトをわざわざ選んでくれた人たちから遠ざかるべきではない。
自分たちにはユーザーがいるのではない、お客様がいるのだ、と。

 

■大切にすべき「人々」を常に認識すること
言葉というのは何でもないようで、強力なものです。
あいまいな言葉を使うことで、本来大切にするべきものを抽象化して
距離を置いてしまうのは、残念なことなのかもしれません。
自分たちの仕事や提供するサービスの先にいるのは、
抽象的なユーザーではなく、人だというのは、
よく言われるけれども、何やかんやと忘れがちで、見えにくいものです。
結局、自分たちのつくるプロダクトやサービスがあるのは、

他でもない、自分たちを選んでくれた人たちのおかげです。
「ユーザー」「お客様」という言葉に縛られすぎるのもアレかもしれませんが、
常に意識としては持ち続け、忘れちゃいけないんじゃないかなあ、と思いました。

 

◆参考
Let’s reconsider our “users” | Jack’s

◆フィードフォース、情報ハンター稼働中。
FFソーシャルチームTwitterアカウント  FFソーシャルチームのFacebookページ  RSS登録はこちら

◆私たち「フィードフォース」のこと

株式会社フィードフォースは、「企業の持つ情報を適切な場所と形でユーザーに届ける」ことを事業ドメインに、RSS・メタフィードを活用したマーケティングシステムの他、「オウンドメディアのソーシャル化」を支援するサービスソーシャルPLUSを皮切りに企業の最適な情報発信のお手伝いを行います。

この記事を書いた人

author by 深谷 直

深谷 直

自分が知りたいなーと思ったことを全力で記事にしています。はてブとSumallyが情報収集のお供です。よろしくお願いします。

投稿記事一覧