ソーシャルコマースをどう実現するか①:ほしいボタンは効果的なのか?

ソーシャルコマースをどう実現するか①:ほしいボタンは効果的なのか?

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「ソーシャルコマース」という言葉が取り沙汰された昨今。様々な工夫をこらした機能やプラットフォームが活用されてきましたが、これをやれば成功する!という明確な答えというのはなかなか無いのが現状かもしれません。Eコマースにおいてソーシャルメディアを活用するには、具体的にどういった機能や活用方法が効果的となり得るのでしょうか?

そこで今回はFacebookも独自の機能として導入を検討しているとされる「ほしいボタン」に焦点を当て、ユーザー心理の観点も踏まえ、その有用性について考えてみたいと思います。

■Facebookも目を付けた「ほしいボタン」、ソーシャルコマースに拍車をかけるか
TechCrunchの記事でも取り上げられたように、Facebook自体からも「like」の他、「want」ボタン導入を検討しているとされるニュースが話題となりました。その詳細は明確にはされていませんが、広告ターゲティングやパーソナライズなどに活用されるのではないかと予測されています。
参考:
Facebook、「読んだ」「聴いた」「見た」ボタン導入へ。「欲しい」ボタンも(情報筋)|TechCrunch
小さな「Want」ボタンのコードが、Facebookの大きなEコマースを予示している|TechCrunch

 

■ユーザーは「ほしいボタン」を必要とするのか?
こうしたほしいボタンは、ソーシャルコマースとしてユーザーにとっても必要とされ、有用な機能になっていくのでしょうか?これに関して、Social Commerce Todayに興味深い記事がありました。

ソーシャルコマースサービスの先駆けとされるPayvmentや8thBridge も「ほしいボタン」の機能を提供しています。企業の観点から言うと、ほしいボタンを押したユーザーは「私にこの商品を売ってください」という意思表示をしているようなものなので、そのユーザーに対して積極的にプロモーションをかけ、効率的かつ効果的に売り上げにつなげることができるとされています。

しかし一方で、元Yahoo!の出身であり現在PayvmentのCEOであるJim Stonehamは、自身もこの機能を提供してきた経験から「ほしいボタン」はいいね!するほどには簡単に押されるものではないとの見解を示しています。
これについてSocial Commerce Todayの記事では、基本的な心理学の観点で考えると、「ほしいボタン」等で自分が何を欲しいと思っているかを公言することは、心理的なプレッシャーを感じてしまうものであるとしています。

参考:The Psychology of the Want Button | Social Commerce Today

 

■「ほしいボタン」にまつわる心理
まず、私たちが普段気軽に使ういいね!と「ほしいボタン」は大きく違う点があります。
いいね!が「今」を言及するものであることに対して、「ほしい」は「未来」を言及するものであるということです。つまり、いいね!は一夜限りの気軽さがある一方で、ほしいボタンはその製品やブランドとの長期的な関係性を持ったり将来を約束することになり、そうした責任が心理的には負担を感じるというのです。
ほしいという意思表示をすることで、「私をこの製品に関する広告やマーケティングのターゲットにしてください」というメッセージを含意するものだとすると、ユーザーはほしいボタンを用意には使いたくなくなってしまうかもしれません。

 

■友達の「ほしい!」の意思表示は購買を駆り立てるのか
ここまでユーザーは「ほしいボタン」を使うかどうかに焦点を当てましたが、一方で友達の「ほしい」の意思表示を見た他のユーザーは、どれほど反応を示し、そこからバイラルや購買が発生すると考えられるのでしょうか?
実際にほしいボタンの機能を提供していたPayvmentのCEOは、単純にほしいという意思表示を自動でFacebookのニュースフィードに流すだけでは、思ったよりも有用なものにはなりにくいとしています。

PayvmentのCEO、Stoneham氏は自身が投稿した記事の中で、ソーシャルストリーム(Facebookのニュースフィード等)上で製品の発見や衝動的な購買を促すために重要なことは、ユーザーにとって手間なく(“frictionlessに”)投稿することができ、かつそれを見た他のユーザーが反応しやすいメカニズムを作ることだと指摘しています。

via Why the “Want” Button Doesn’t Work for Social Commerce | AllThingsD

そこでPayvmentでは、自社のデータをもとにソーシャル上の反応のメカニズムについていくつかのタイプごとにわけたマッピングを公開しています。横軸はユーザーにとっての手間のレベル、縦軸はリーチのボリュームを表し、それぞれアクションを「手間がない(Frictionless)・負担がライト(Lightweight)・意向に基づく(Intent-Based)」の3つのレベルにわけたものになります。

 

■投稿の手間がなく、反応を得やすいシェアとは何か
●frictionless:手間のないメカニズム
マップの曲線のトップではシェアのメカニズムが手間のないものになっており、音楽を聞くと自動的に自分のフィードにそのアクションが投稿されるアプリなんかがわかりやすい例です。
多くの人々は今聞いている音楽のシェアに関しては前向きですが、今何を読んでいるのかについてはあまり関心は持たれない傾向があるようです。

▲Huffington Postのソーシャルリーディング機能

Huffington Postのような人気サイトでも、28%しかこの認証を受け入れていないようです。手間がかからないとはいえ、シェアするものによってこのような自動投稿機能は承認されにくい場合もあると考えられます。

これがコマース領域になると、手間のないシェアはあまりうまく働かないとStoneham氏は言います。ほとんどの人々は友達に閲覧したすべての製品を見せたいとは思いません。たとえば、プレゼント用の買い物をしていたら友達全員に自動的にシェアされてしまっては困ってしまいます。

●Lightweight:負担がライトなメカニズム
曲線をもう少し下がっていき、ライトな反応の仕組みとして普及しているのは「いいねボタン」です。とはいえ、いいねは汎用的であるためあまり大きな意味を持たず、ストリーム上でさらに反応を誘発するにはあまり効果的とは言えません。コマース領域においても、ユーザーがある製品やサービスに関して何を意図していいねしているのかは、あまり明確にはなりません。

そこでPayvmentは新しい仕組みとして導入しているのが、いいねよりも意図的かつ「ほしい」よりもライトなシェアとして、製品に対して3つの顔のアイコンを使って素早く意見を提供してもらう仕組みです。

たとえば、Lish.comでは、買い物客は「笑顔・まあまあ・眉をひそめる」の3種類の表情のアイコンを用いて製品に対して何かしら反応をもらうようにしています。

●Intent-based:意向をベースとしたメカニズム
曲線の下部にいくと、意向をベースとしたメカニズムとなっており、これは「ほしい」や「買う」、「持っている」のような具体的な意味を持ったシェアになります。PayvmenteBayなどのソーシャルコマーステクノロジー企業は製品のリストに「ほしいボタン」を設置している一方で、手元の数か月のデータによると、実際には「ほしいボタン」はユーザーにとってあまり魅力にはなっていないことがうかがえるようです。これについて、Stoneham氏が考える理由の中で心理的観点から「なるほどな」と思ったのが以下の考察です。

  • 「ほしいボタン」をクリックすることはその製品をプレゼントしてほしいと頼むことと直結してしまいます。友達に貪欲な人間だと認識されたくないという気持ちがあるため、「ほしい」ボタンを使いにくいと考えられます。

こう考えるかどうかも人それぞれかとは思いますが、友達とのコミュニケーションを楽しむフィード上で、何かの製品をチェックする度に、やたら「あれがほしい!これがほしい!」というシェア情報が流れてしまっては、さすがによろしくない気持ちがするかもしれません。

 

■商品に関する意思表示がエンゲージメントを高める可能性
PayvmetnのCEO、Stoneham氏は自社の経験も踏まえて、「ほしいボタン」の可能性とその活用の難しさを示しました。
一方で、Payvmentのデータによると、Lishのようなライトな感情表現を使った評価システムが、「ほしいボタン」や「いいね」よりも効果的に反応を得やすいと提言しています。Payvmentの20万人近い売り手の反応を追跡してみると、「スマイル・まあまあ・眉をひそめる」の顔を使った評価システムが、従来の「ほしい」や「いいね」のボタンよりもセッションに対して5倍ものクリック率を集めることができましたとしています。

また、ほしいや持っているボタンに比べて、Lishの感情表現アイコンの投稿のほうが、ソーシャルストリーム上で平均で3倍ものいいねやコメントがつくようになったそうです。自分の意図をアイコンを使うことで、レビューを書くよりも簡単に表現できること、そして商品に対するひとつの意見としてソーシャルネットワーク上の友達にも参考になる情報となり得る可能性があるということでしょうか。

とにかく簡単にシェアができればいいということでもなく、また企業にとってはいくら魅力的に感じられてもユーザーにとって使いたくないものであれば意味がありません。当たり前のことかもしれませんが、実際にこれを使うユーザーはどんな気持ちになるか?という心理的な側面もきちんと検討していく必要があると感じました。

参考:Why the “Want” Button Doesn’t Work for Social Commerce | AllThingsD

 

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author by 深谷 直

深谷 直

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