ユナイテッドアローズ、リアル店舗での接客体験をネットで想起させる小細工なしの直球勝負。

ユナイテッドアローズ、リアル店舗での接客体験をネットで想起させる小細工なしの直球勝負。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

今回は、日本を代表するセレクトショップ「ユナイテッドアローズ」に注目したい。
ユナイテッドアローズといえば、ファッション業界の中でも際立つのがネット通販売上比率(EC化率)の高さである。
12年11月22日付通販新聞によると、単体ベースのEC化率は10.9%という数字だ。
一般的には、売上高に占めるEC経由の売り上げは5%を上回れば好調と言われている。
他社のEC強化が遅れている原因として、ネット部門はリアル店舗の売上を奪う存在として見られがちのため、上手く両者の連携が取れていないことが挙げられる。

そんなユナイテッドアローズの新しい取り組み「UA TRANSFORM SHOW」がなかなか興味深く、もっと注目されても良いはずと思い勝手に取り上げることに決めた。
*残念ながらキャンペーン自体は12月2日(日)に終了している。

この取り組みの目的として、全国のユナイテッドアローズ店舗にて消費者と販売員の関係性を高めることを掲げている。
内容は以下に記載している。

オレンジ色の「情熱接客バッジ」をつけた販売員に声をかけ、自分の「10分」を預けると、販売員が10分間で来店者の世界を変えるようなスタイリングを提案、実際にすべての服を着て写真を撮影するというもの。参加者には同社が雑誌『GINZA』 編集部と制作したオリジナルのスタイリングブック「UA KNOWS THE BEST」がプレゼントされ、さらに1万円以上の買い物をすると10%オフのクーポン券がプレゼントされる。

今、リアル店舗で販売員の接客を通じて洋服を購入する価値を見直す

新しい洋服を購入しようといざお店に入ったものの、結局似たようなデザイン・色に落ち着いてしまったという経験がある人も多いのではないだろうか。
今回の取り組みが面白いと感じたのは、「リアル店舗で洋服を購入するという体験の価値に改めて気が付いてもらいたい」というユナイテッドアローズ側の想いを感じたからだ。

確かにネット通販は便利だ。
送料無料、返品無料などの新たなビジネスモデルを持つ企業の参入により消費者のネットで洋服を購入する抵抗感が徐々に減っているのは間違いない。

ただ、リアル店舗での接客を通じた購入体験にあってネット通販にないもの。
それが「自分でも想像しなかった新しい自分に出逢える瞬間」だと思う。
新たな自分との出逢いの瞬間を演出してくれるのがまさに販売員なのではないだろうか。

現在、IT業界ではO2Oという言葉がバズワードのようになっている。
スマートフォンの普及により企業のO2O施策は加速する一方だが、
個人的にはその多くがオンラインを起点としたテクノロジーありきの施策のような気がする。

ユナイテッドアローズの本企画は、あくまでリアルの場での顧客体験の創出が起点となっている。
そこには最新のテクノロジーを駆使した仕掛け(小細工)は一切見受けられない、あくまで直球勝負である。

私はそこに気概というか装飾のないメッセージ性の強さのようなものを感じた。

ちょっと褒めすぎだろうか?
一つ残念な点を挙げると、コーディネイトに使われた各アイテムのうちECサイトで購入できるものが半分程度しかなかったこと。
ただ、これも「全部はネット経由で買わせないよ。リアル店舗で自分たちの接客体験を感じてね」という意図が込められたものなのではないだろうかとつい期待してしまう自分がいる。

この記事を書いた人

author by 川田 智明

川田 智明

ITがマイナーなものをメジャーにするところが好き。ファッションをおかずにご飯3杯イケる。関心はファッション×IT分野・アドテク周りも。

投稿記事一覧